私たちが一緒に生活しているイヌ(イエイヌ:Canis familiaris)は、肉食目イヌ科の動物です。イヌは、ウシ、ウマ、ブタよりも早く、一番先に(少なくとも1万2千年前から)家畜化され、ヒトの社会の一員になりました。つまり、イエイヌは、野生動物とは異なり、ヒトと共に生きていけるように作られた動物なのです。
イエイヌの祖先は、オオカミである、または、他のイヌ科の野生動物の複数が交じっている、などの説があります。家畜化が始まったころ、ヒトは狩猟や木の実を採集し、集団で生活していました。イヌは、住居周辺の残飯を食べる「掃除役」として、また、狩猟のパートナーとして、寒い時の湯たんぽ代わりとして役立ちました。食べ物の無い時に食料となった事もあるでしょう。しかし、イエイヌが他の家畜と違う点は、「ヒトの相棒(パートナー)になってくれた」というところではないでしょうか。
さて、どのように野性のイヌから、イエイヌや使役犬種が作られたかについては、直接選択説(ある特性を選択交配により徐々に強化していった)、および幼形成熟説(成獣になっても子獣のような特性を残す野生のイヌを選択交配した)、などが示唆されています。家畜化の初期の過程では、従順で子供じみた性格の、恐怖を感じにくいイヌが作られ、その後、牛や羊などの護衛・統率、ソリを引くなどの目的に応じた、様々な犬種が作られていきました。現在のように、愛玩、ペット、番犬、シープドッグやガンドッグなどとして活躍する200〜400種とも言われる犬種が作られたのは、19世紀の後半以降になってからで、交雑により急速に進められたものです。
家畜化に伴い、イヌは、視覚聴覚が鈍化し、自然界に適応しにくくなった一方、ヒトの社会でなじみやすい性質を持つようになりました。イエイヌがヒトによってヒトの為に作られたことを考えた時、彼らに対する私たちの責任を再認識します。よきパートナーとして、私たちは犬達と幸せに暮らせる方法を考えていかなくてはなりません。
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