イヌは群れで生活し、群れの仲間に愛着を示す動物です。また、非常に高い社会性ゆえに、異種である私達人間にも、愛着を示し、共に作業し、生活することを楽しめると考えられています。
イヌは、ヒトとの接触をもたずに生活した場合、2〜5頭くらいの群れを形成します。群れの中には、階級があり、最も上位の雄犬がリーダーとなります。リーダーは、群れの安全と秩序を守る責任を負う一方、優先して、食べ物、お気に入りの寝床、進む方向などを決定する権利を持ちます。
イヌがこんな社会構造を構成することから、ヒト生活する場合、家族や同居犬を群れの仲間と考え、その間に順位を意識するようになると考えられてきました。飼い主への攻撃の多くが、優位性攻撃行動(権勢症候群、αシンドローム、支配性攻撃行動、dominance aggression)、つまり、愛犬が飼い主の上に立ち、飼い主を支配しようとするために起こると言われた時期もあります。その為、飼い主は、リーダーとなり、愛犬と主従関係を作る事が理想とされ、子犬の頃から口吻部を強く抑えたり、お腹を見せて押さえつけたりする事が推奨される事もありました。
しかし、最近の研究から、イヌが異種であるヒトを群れの仲間と考え、階級構造を意識しているのか? 飼い主よりも上位な地位を主張する為に攻撃するのか?について、疑問を感じる専門家も少なくありません。また、家庭内で飼育される同居犬同士では、階級意識が低く、明らかな上下関係を示さない事が多い事も分ってきました。
主従関係ばかりが誇張されたことによる、副作用も多く見られます。愛犬を無理やり従わせる為に行われた体罰などから、犬は、飼い主への信頼を失い恐怖による攻撃を示すようになったり、臆病になったり、また学習能力が低下することもあります。
ヒトである私達が愛犬と生活する時、イヌ社会と同様の階級構造、主従関係を強要される必要はないでしょう。たっぷりの愛情、一貫した態度、落ち着ける環境、食餌、共通の楽しみとしての訓練、などなどを愛犬に与える中で、信頼関係、「絆」を作っていけるのではないでしょうか。
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