犬を迎える前に皆さんが思い描いた「理想の愛犬像」には、皆さんの生活スタイルや環境に合わせた、様々なご希望が含まれていたことでしょう。しかし、おそらく多くの皆さんが共通して望まれることには、以下のようなことがあげられるでしょう。
- 飼い主に対して愛情深い
- こわがりでない
- 攻撃的でない
- 刺激に対して過剰に反応したり、吠えたりしない
- 基礎的な訓練ができている
- すわれ、ふせ、こい、まて、など
- 排泄を失敗しない
- 留守番ができる
これまで、お話したように、犬の気質は、遺伝的な影響や、皆さんが愛犬に出会う前の環境に大きな影響を受けます。しかし、多くの飼い主の皆さんが愛犬に出会う時期は、「社会化期」といわれ、犬が多くの事を学び、吸収する非常に重要な時期であることを、ぜひ、再確認していただきたいと思います。
3. 社会化期
様々な刺激に対しての感受性が高く、「犬としての普通の行動や、愛情・愛着を学ぶ時期」です。
その中でも、前半期は、母犬や兄弟犬と共に過ごし、それらとのかかわりや遊びを通じて、自立と愛着、イヌとしての社会的な行動(甘がみの強さやボディーランゲージなど)を学びます。また、自分の住処周辺を積極的に探索して、生活空間にある物を学び、場所への愛着を持ち始める時期です。つまり、上記のような理想像を満たす犬を育てるためには、「室内(家庭内)」で、「母犬と兄弟犬と生活」することが必要な時期のです。
さて、後半になりますと、離乳に伴い、母犬から離れて、兄弟犬やヒト、他の動物と過ごす時間が増えていきます。また、住処周辺を離れて、世の中の様々な刺激、物、事を学ぶ時期ですから、様々な人、動物、物などに触れ合わせることで、のちにそれらに対して、恐怖や攻撃を示したり、過剰に反応したりする可能性が低くなります。ただし、この時期は、恐怖刺激への感受性も高く、「怖い」「嫌い」と認識する刺激は、のちのちにまでトラウマ的記憶として残ってしまうことがあります。「新しい人、動物、物と触れ合わせる時は、穏やかな環境で、楽しく、心地よい出会いになるように」心がけなくてはいけません。
また、学習能力も成熟し、基礎的訓練を始めることができます。もちろん、まだまだ集中力がありませんから、一度の訓練は5分以内!笑顔で、楽しく行ってください。トイレのしつけを始めるにも適している時期です。
さて、次号からは、トイレのしつけ、あまがみ、訓練など、具体的な対応について考えていきましょう。
動物行動学としつけ 連載記事一覧に戻る